MICHIO DEGAWA's FAVORITE Collection

Shichirigahama

AUGUST 2019 文/出川三千男氏

七里ヶ浜は特殊な場所なのだろう。背後には三浦丘陵の海食崖が海のそばまで迫り、砂浜の海岸との狭い平地には国道134号線と江ノ電が海岸線を沿うように走っている。
海に向かって左を見れば、稲村ケ崎から遠く三浦半島が望め、右を見れば江ノ島と、その奥に富士山と伊豆半島が望める。

七里ヶ浜のもっとも特徴的なのは海岸線における景観だろう。

七里ヶ浜の海は、由比ヶ浜のように、いわゆる遠浅の海岸ではなく、海底は複雑な地形をしているために海水浴や港などの港湾施設には適していない。だから海には視界をさえぎる施設がなにひとつない。

そのうえ、その海底地形のおかげで、稲村ケ崎から小動の間の約2.7kmは、日本でも有数のサーフポイントが点在しているというわけだ。

かつては温暖な海洋性気候を求めて、東京などの富裕層の別荘や会社の保養地、そして療養所や牧場などが点在していたのどかな海辺の村は、1960年代になると丘陵地帯の宅地開発が進み戸建て住宅が増え、またいたるところでブレークする波を求めてサーファーたちが集まりはじめた。

こうして、商業施設やホテルが建ち、そして七里ヶ浜正面の海沿いに広い駐車場が整備されるにともない、ビーチサイド・タウン・七里ヶ浜は注目の集まるおしゃれなリゾートとなった。今では土日・祝日ともなると134号線は渋滞するが、日本渚百選のひとつに選ばれるほどの風光明媚な景観と家々の間を縫ってのんびりと走る江ノ電、そしてサーフボードを持って歩く老若男女のサーファーたちの姿やサーフィンに興じる姿に目を奪われ、車上の人たちのひとときの安らぎを与えている。

こんな七里ヶ浜の景観は、世界中を探してもきっと見つからないだろう。

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